ライターSが三軒茶屋の名店「SEPTIS」小山さんに聞くスニーカーの定番『CONVERSE(コンバース)』の魅力。

INTERVIEW 2016.03.03
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オーセンティックでエバーグリーンなアイテムを多く揃える三軒茶屋のセレクトショップ「SELECT STORE SEPTIS」。いわばファッションにおける定番アイテムを多く取り扱うショップですが、その定番アイテムに今っぽい解釈を吹き込み常にアップデートされたスタイリングを提案しています。

そんな定番から現代の洋服まで酸いも甘いも知っている同店のショップマネージャー小山さんに、定番アイテムの魅力とは何なのかを聞いていく本連載がスタート。各回でテーマに則ったお話を、スタイラーマグのライターSが聞いていきます。まずはスニーカー界のTHE・定番『converse (コンバース)』。1時間の記録を二回に分けてご覧ください。

・小山さんとライターSのコンバース遍歴


ライターS(以下:S):小山さんはいつからコンバースを履いているんですか?

小山さん(以下:K):大学の時とかもナイキとニューバランスとかアディダスとかも履いてましたけど、そこらへんをシフトしてきましたね。その中でも割とコンバースはずっと履いてきました。…ジョーダンの時期や、スーパースターの時期とかもあったんですが、結構その時々で根本として違ってたような気がしますね。人が違うというか。

S:人が違うというのは?

K:僕自身ってことですね。

S:あ、たしかに。ありますね。趣向が変わっていく。

K:置いといてはいるんですけどね。でも履かないんですよ(笑)。それに対してコンバースのオールスターとかジャックパーセルはなんだかんだずっと履くし、ずっとありますね。

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実際にコンバースを見せながら説明してくれる SEPTIS 小山さん


S:僕は逆にコンバースはアディクトしか履いてないですね…(笑)。(ライターS注:コンバースの上位ライン。従来より履き心地が良く、中毒性があるコンバース。)

K:え、アディクトだけですか?!その前とかは?

S:いや、すみません、高校の時は靴の量販店で買ったローカットのオールスターやジャックパーセルを履いてましたね。ファッションとして強く意識してなかったので記憶から飛んでました(笑)。

K:あー、そしたらまぁまぁ履いている方じゃないですか。僕もめちゃめちゃ履いてきてるってわけではないんですよ。10、20足とか。一足を履き潰すほどでもないですし。

S:そうなんですね。色はまちまちですか?黒がやっぱり多いとか?

K:オールスターに関しては、少し前までは生成りの色がなかなか手に入らなかったじゃないですか。日本製がでるまでは。なのでそれまでは黒か赤でしたね。

S:あ、あ、赤ですか。意外ですね。結構主張の強い色じゃないですか。そこ、白ではないんですね。

K:そうですね。アジアメイドだと違和感があるじゃないですか、あの白(笑)。赤でも意外といろんなスタイルに馴染むんですよね。オールスターだと。

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S:あぁ、言われてみればそうですね。色褪せたデニムに合わせているのをよく見ますもんね、パンク・ロック界隈で。形はハイカットですか?やっぱり。

K:いや、そんなことないんですよ。ハイカットの方が断然イメージは強いとは思うんですけど、ローカットを履いちゃいますね(笑)だって、ローカットのほうが断然履きやすいじゃないですか(笑)。

S:たしかに(笑)。僕もそうです。アディクトはハイカットですけど、結局足に合わなくてあまり履いてないですね(笑)。

・VANSで理想を模索する


S:小山さんが変わらずに履き続けているのはコンバースですが、僕が変わらずにずっと履いているものは、『VANS (ヴァンズ)』のチェッカーフラッグのスリッポンですね。

K:へぇ、意外です。

S:あれ、ヴィンテージはあるにせよ、基本的に変わらないじゃないですか。デザイン面はとくに。なんで今で5足目ですね。1年と半年ぐらいで約一足履き潰してきました。だいたいそれぐらいで右足の親指部分に穴が開いたり、ヒールパッチが取れたりするんですよね(笑)。

K:でもヴァンズってヒールパッチが結構上のほうにありますよね?

S:そうですか?下のほうにあるから取れると思ってました。

K:いや、よっぽどコンバースのほうが取れちゃいますね。

S:僕の歩き方が単に悪いってことですね(笑)。

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ライターSが愛用しているヴァンズのスリッポン


K:そうっぽいですね(笑)。それにしてもなんでヴァンズを履き続けているんですか?

S:そうですねぇ。ストリートの定番ってところに惹かれているのが一つありますね。

K:ヴァンズは確かにストリートの定番だと思いますが、 僕はあまり頻繁には履いてないかもしれないですねー。

S:そうなんですね。まぁチェッカーフラッグの見た目の良さとコーディネートとしてもポイントになるってのもそうです。一つ確信しているのは、例えば、生活する上で洋服の優先順位が低い人でもヴァンズって履いているじゃないですか。ミリタリー・ストリート・トラッドとかファッションのジャンルにおいてもですが、それより大きなところで人のコミュニティを横断して老若男問わず。

K:たしかに、ニューバランスも得てしてそうですね。

S:でもそれだけ多くの人が同じものを履いていてもどこか違うように見える。そのとき着ている洋服が靴と相性が良いとかではなくて、その人が履いているからそう見えるというところだと思うんですけど。まぁ個性ですかね。なので同じものを履いている中でも一歩抜きん出るというか、いかにカッコよく見せるか、そういった部分に惹かれて履き続けていますね。

K:はいはいはいはい、わかるなーそれ。

S:嬉しいです(笑)。僕自身が多分天邪鬼というんもあるんですけど、同じものの中に他の人とは違う意味を見出すという点に重きを置いてます。洋服を自分でよく買うようになったのが原宿界隈の古着ミックス全盛期の時なんですよ。有名なサロンボーイがいたり。そして着る洋服は見た目のデザインがかなり個性的なもの。個性的なデザインを着ていればおしゃれという考えでした。でもそれは簡単なことで、実は同じものの中に違う意味を見出すほうが圧倒的に難しいんだ、深いんだ、ということを年を取るにつれて学んでいきましたね。だからみんなが履いているヴァンズを履いて模索している感じですね。

・ヒーローと大衆とダイナミズムの原理


S:逆にスーパースターなんかは昨年やたらと大衆化しすぎた気がしませんか?

K:うーん、そうですねぇ。かといって高いから、みんなのものとまではいってないですし。

S:やっぱり買いやすい安さがずっと愛される理由なんですかね?

K:それは間違いなくあると思います。安さが買う門戸を広げてくれますし。

S:そうですよね。

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SEPTISのオーナー 玉木さんのコンバース。全て70年代のヴィンテージ


K:でもうちのオーナーと話してても、ヴァンズってあまり話題にあがらないんですよね。(ライター注:アパレル業界の重鎮・玉木さん。書籍化にまでなった超B級アーカイブというブログが勉強になります。)

S:そうなんですか。まぁたしかに履いているのを想像できないですね(笑)。

K:オーナー曰く、昔はアメリカの東海岸は『PRO-KEDS (プロケッズ)』、西海岸はコンバースだったらしいんですよ。今は西海岸には、ヴァンズのイメージも浸透してますけどね。

S:なんでそんなに変わったんですかね。

K:今プロケッズを履いてると、「好きなんだろうな〜」とか思いますけど、それに対してコンバースはあんまりそういう感覚にならない。靴自体にクセというか色があまり出ていない。靴の中でもそれを履いていると服装の系統を左右するものってあるじゃないですか。その意味でコンバースはどっちにも振れるんですよね。

S:たしかに。普段ニューエラ被ってナイキのジョーダンを履いてヒップホップ寄りの格好をしている人を想像してみて、その靴をコンバースに差し替えても馴染みますもんね。なんなんだろうなー、その振り幅の秘密は。

K:デザインは大前提だと思います。ただやっぱり、色んな人が履いてきたからじゃないですかね。

S:人とコンバースの歴史ですか。

K:そうです。例えば芸能人やハリウッドスター、ミュージシャンとかが履くとそれに好きな人が集まるわけですよね。それが多方面に伝わると。多方面っていうのはコミュニティを横断したという意味です。そんな感じで広まったんじゃないですかね。

S:みんなを魅了するヒーローが一部のコミュニティとまた別の一部のコミュニティを呼んでくるわけですか。たしかに。言われてみればファッションに限らずとも、音楽であったり映画であったりもそうですよね。好きなアーティストのライブに行けば自分とはそれまで関わらなかった人種がいるわけですから。それまでのコミュニティーが消え去るが如く、例えば映画で言えばお前もトイストーリーが好きだったのかと(笑)。ウッディー普段はなよなよしてるけどやる時やるよねと(笑)。接点がいかに多くの人にあるかがダイナミズムを生み出す秘密ですね。

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K:でもコンバースは昔めちゃくちゃ高かったらしいんですよ(笑)。

S:え、そうなんですか?!なんですかそれは(笑)。当時でいくらですか?

K:6〜7000円したらしいです。やばくないですか(笑)。でも当時でもやっぱり人気だったらしいですよ。もちろんマスには下りきっていないでしょうけど。

S:なるほど。今でいうところのスニーカー界のキムタク、ヒーローだったわけですか。少し違いますけど、“キムタク着”は今でもオークションで高値で取引されていますもんね。あれ、すごいですよね。

K:僕がseptisで見てきた3、4年間でも、個人的に「前の仕様の方が好きだった」なんてアイテムがあったりもしますし。

S:でもコンバースも仕様が変わっていますよね。生産地だったり仕様であったり。

・生産地で異なるコンバースのディテール


S:コンバースも生産地が違いますよね。日本製だったり中国製だったり。何が違うんですか?

K:まず見た目が違うと思います。コンバースはヴァルカナイズド製法で作られているんですけど、あれって側面をラバーで巻いていますよね。で、どこが違うというと日本製のほうが平均して、その部分がグッと上がってるんですよね。(ライター注:スニーカー本体とソールをゴムを挟んでくっつける方法。コンバースがレトロに見える一つの要因。)

S:高さがあるってことですか?

K:うーん、ソールの厚み=高さがあるわけではないんですけど、そのラバーが上げることで視覚的に細く見えるようにしてるんですね。それはやっぱり昔のオールスターとかもそうで、つま先の部分が狭いのもそのためです。

S:なるほど。見た目が違うってのはそういうことなんですね。

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K:でもあの製法でゴムを引き上げるのって結構めんどくさいらしいんですよ笑。ゴムを上げすぎると切れちゃいますし。切れちゃえば当然売れないですからねー(笑)。やりたがらないんですよね。反対にやっぱり日本製は細かいところまで再現できていますよね。それは日本人ならではです。もう圧倒的です。

S:ほー、SEPTISさんで日本製を取り扱う理由もそこなんですね。

K:そうです。生成りなんかは特に、アジアメイドにはない色合いですよね。クオリティもそうですけど、まず日本であの生成りを作り続けてくれているっていうのは大きいです。あとは形。これは共通の感覚ではないかもしれないんですけど、ローテクのスニーカーって、甲幅の部分をギュっと狭くして履きたいんですよね。それがある意味正解としてそれが流布してるじゃないですか。それが細身の木型じゃなかったり、
トゥキャップが大きいとそのシルエットは成立しないんですよね。

S:いやーたしかに、コンバースはシュッとさせたいですね。古着でわざと現行にはない大きめのサイズを買ったりしてますよね、好きな人は。

K:あとはもう気のせいだと思うんですけど笑、キャンバスの雰囲気も良いですよね。ザラっとしているような感じが。アジアメイドのキャンバスはなんとなくふっくらしてないというか。ペタっとしてるというか、、、。してないですか?!(笑)。

S:え(笑)。いや、うーん…。比べたことがないです(笑)。

K:例えば、コンバースのキャンバスと白のトートバッグのキャンバスだとキャンバスの粗さが違うじゃないですか。

S:あーそうですね、はい。

K:日本製の方がTHE・キャンバスっていう見た目の素材感がちゃんと出てる気がします。あくまでも気がするだけですが笑
S:なるほど…。

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小山さんのコンバースの遍歴からディテールの違いで見るコンバースまで、ざっくばらんに話した第一弾。ながーい歴史のコンバースですが、愛され続けている秘密は“変わらない”ことでした。ひとえに変わらないということだけでなく、そこにはアイコンの存在も。そして一過性にはならないゆるーい流行も要因です。

この後の記録は、第二弾スニーカーの定番『コンバース』の魅力に続きます。お楽しみに。

・ショップマネージャー小山さんプロフィール


『SELECT STORE SEPTIS』に入って2年でショップマネージャーとなり、今年2016年に4年目突入。お店のフロントマンとして、接客を中心に携わる。趣味は飲み歩き。同店HPの三軒茶屋散策ブログでは、オススメの飲食店などを紹介。

SELECT STORE SEPTIS
東京都世田谷区三軒茶屋1-41-13
TEL.03-5481-8651 OPEN.13:00 - 21:00 (土曜・日曜・祝日は12:00 - 20:00 定休日.水曜日)

Photo&Text.ライターS


 
Text&Edit : ライターS


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