【レポート】日本のアパレル工場と消費者を繋ぐ“伝え手”に。Factelier主催「学生のためのアパレル工場サミット2015」

EDITOR'S 2015.11.19
_DSC0454

今日着ているアウターのタグを見てみてください。そこには「Made in 何」と書かれていますか?私たちが普段着ている洋服は、いったい何処で作られているのでしょう。今日は少しだけ、そんなことについて考えてみます。

海外のみならず日本国内でも“メイド イン ジャパン”が注目されるようになり、アパレル市場でも日本製品を見かけることが多くなったと感じている人もいるかもしれません。しかし、2014年に国内市場へ供給されたアパレル品のうち日本製はわずか3%というのが現状です。(2015年4月30日 繊研plus「めてみみ 付加価値の源泉」より)

そんなメイド イン ジャパン製品、国内工場に着目したのが「Factelier(ファクトリエ)」。《語れる物で、日々を豊かに。》を掲げるFactelierは日本初のファクトリーブランド専門ECサイトとして、世界の有名ブランド品の加工や製造を手掛ける日本の工場と提携し、その工場オリジナルの商品を販売しています。

※ファクトリーブランド=他ブランドからの委託生産ではなく、自社のオリジナル製品として工場自体で持つブランドのこと。

_DSC0442

11月14日土曜日、Factelier主催の「学生のためのアパレル工場サミット2015」が開催されました。登壇者は一流工場で働く現場の方や日本製品を世界へ伝える事業者、聴講者は全て学生。メイド イン ジャパン製品を作り出す日本の工場の現状と未来についての熱い議論が交わされ、都会と地方工場の違いやなぜ今メイド イン ジャパンなのかなど、6つのテーマでトークショーで構成され、中には10時〜19時の長丁場全てに参加した意欲ある学生も。

今回のレポートでは、トークショーの一つである、Factelier代表 山田敏夫さんが語る、「“メイド イン ジャパン”が持つものづくりの魅力」についてをお伝えしていきます。

400以上のアパレル工場を見てわかった現実と将来の可能性


_DSC0277

代表でありながらも一年のほとんどを工場周りに費やす山田さん。実際に周ってみるとほとんどの工場が自社サイトやSNSなどを活用しておらず、良い製品を作っていても発信力が無いということが決定的な問題だったそうです。それは、創業100年続く老舗婦人服店に生まれた山田さんが売り場を見てきて感じていた「もどかしさ」ともリンクしていきます。

「実際の売り場では1日100人の接客で100人にしか伝わらないけど、ウェブ上だと24時間365日開店しているのと同じなので、リーチ数が圧倒的に多い。プラットフォームさえ作ってしまえばその場が消費されることなく、より多くの人に向けて良質な製品を発信できるのが魅力だと感じ、ECという形でメイド イン ジャパンの製品をお客様に届けていこうと思いました。」

山田さんが日本製品に着目したのはフランス留学中に言われた「日本には本物のブランドがない」という一言がきっかけでした。「いま海外で評価をうけているメイド イン ジャパンはマーケティング、ブランディングが上手いのか、それとも本当に製品の質そのものが評価されているのか。」そんなもやもやを心に留めたまま他の仕事に就いていましたが、「本物のブランドを作る」と一念発起しFactelierを始めたのが2012年のこと。

_DSC0449

「思い出の器として、メイド イン ジャパンは最適。」


《語れる物で、日々を豊かに。》を掲げるFactelierが大切にしているのは、作り手と使い手をつなぐこと。その想いを体現しているのは、職人とFactelier社員からの直筆の手紙と共に製品がお客様に届くというサービスです。その製品一つ一つに込められたメッセージが、手紙や制作工程動画といった形で消費者=使い手に届き、日々の暮らしが少しだけ豊かになるようなストーリーを使い手の日常に添えてくれます。

_DSC0439 (3)

「日本でも海外でも関係なく、物作りの現場を伝える場が今までありませんでした。それを作りたかったのでFactelierでこうしたイベントを開催しています。日本の物作りってぶっちゃけどうなの?生活できるの?とか、実際に現場で働いている人から話を聞ける機会ってなかなかないですよね。現場の生の声を聞かないまま、メディアが伝えるメイド イン ジャパン賛美や工場があぶない!といった話だけを鵜呑みにしてしまうのは、違うのかなと思います。」

Factelierのサイト上では海外の人が見ても直感的にわかるよう、販売アイテムの製作工程を動画にして公開されています。販売員が口頭、または文面で説明する以上に製品のストーリーを視覚的に伝えることができて効率的なのだとか。

スクリーンショット 2015-11-17 11.21.22



3%を10%にするために


地方の工場で生産しているからといって、Factelierが目指すのは地方創生ではないと断言する山田さん。あくまでも世界に通用するブランドを作ることが目的で、結果として地方創生が付いてくるのだそうです。「技術を残すこととは、今のお客様に受け入れられるということ。何を守るかに固執するのではなく、自分たちの軸はずらさず、受け継がれてきたものを今の時代に適応していくことが大事です。」消費者と市場を冷静に分析して、今の日本の物作りが国内に限らずどの市場に当てはまるかを探ることが、伝統を守ることに繋がっていきます。

_DSC0444
デザイナー志望で地方の工場を回りたいという学生からの「HPやSNSを運営していない地方の工場の情報はどうやって探し出していますか?」という質問に「タウンページ!」と一言。Factelierを立ちあげた当初は夜行バスで現地に行き、着いてすぐにタウンページを開いて地道に探していたそうです。「行かないと良い工場かどうかなんて分からないから、自分の足で回ること!」


Factelierの今後の展望を尋ねられると、まっすぐと背筋を伸ばし、学生の目を見てはっきりと答えました。「日本の物作りブランド『Factelier』を目指します。流行によって消費されていくトレンドブランドではなくて、次の時代に継いでいける“物作りブランド”が日本にあっても良い。日本で流通するアパレル品の国産比率は3%。その貴重な3%を盛り上げていかないと。」


雨の土曜にも関わらず会場にはファッション業界の未来を担うであろう学生が集い、登壇者やFactelierスタッフを捕まえ熱心に質問する姿に、まだまだ未来は暗くないと思いました。日本の工場が抱える課題は多いが、伝統を受け継ぎ革新を起こしていく、3%を10%にすることができる人材は、身近なところで目を輝かしているに違いありません。

Text.Azu Satoh Photo.Satoshi Takano

Text&Edit : azu satoh


RECOMMEND Created with Sketch.

この記事を読んだ方におすすめ
  • Dsc0070 EDITOR'S 2016.05.24

    【体験レポ】クリーニングをもっと身近にする?宅配ネットクリーニングのリネットを使ってみた。

  • Yi134 EDITOR'S 2015.12.26

    【レポート】日本発ファッションレンタルサービス「SUSTINA」で実際に洋服を借りてみた!

  • L image EDITOR'S 2015.12.25

    【レポート】TH_READ新作予約会。白/黒で男を光らせるジャケットとシャツ。

  • P1010056 EDITOR'S 2015.12.04

    【体験レポ】陶芸初心者が体験。東京で作れる自分だけの陶器。

  • Dsc0666 EDITOR'S 2015.11.28

    VRで洋服を発表?直感に訴えかける新たな売買の形。NORIKONAKAZATO Resort ...

  • Dscf0732 EDITOR'S 2015.11.18

    再構築を軸にした新しい挑戦、新鋭ブランド「The Attractman」の16SSコレクション。

RANKING Created with Sketch.

dairy weekly
STYLER iOS

ショップスタッフがあなたにおすすめを教えてくれるアプリ

STYLER iOS