「古着でも新品でも、格好いいかどうかが全て。」高円寺のセレクトショップ Lampaが提案する、格好良さの根源とその先。

INTERVIEW 2016.12.02
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「高円寺は日本のインド」と銘打ったのはみうら某。インドよろしくカレー屋が多いのはさておき、街に根付いた人、お店の多様さがあまりに雑多で無秩序だからか、誰しもが疑う事のない至言として、フレーズそのものも街に根付いている。こと服屋の話になれば、老舗のヴィンテージショップからガガ様御用達の奇抜極まりない新進気鋭のショップまで、カースト制度のごとく多種多様な古着屋が立ち並ぶ。インド以外に高円寺のキャッチフレーズをつけるなら、「古着の街」が、誰しも納得のいくスローガンになるかも知れない。

そんな街にして10年続くセレクトショップ、Lampaがある。古着を求めて街に来たであろう人がふらっと立ち寄り、新品のアイテムをふらっと買って行く。そしてそのまま常連に。今回はそんな購買体験を生み続けている同店のオーナー、遠山さんに話を伺ってきた。屈託無い笑顔で話す言葉の端々から、10年続く理由が垣間見えた。お店のファンならずとも、ショップの在り方が気になる方、必見です。

スタートは古着屋。


− まずお店の名前の由来ってなんですか?パッと見、ランプをイメージしたのですが。

高円寺をほんのり照らせたらなって思ってました。でもランプだとどこもつけてるし。あと5文字にしたかったんです。見たときのバランスが気になってて、左右対称、真ん中に文字があって、Lが上に伸びててPが下に伸びて。そこでLampaがポルトガルとかイタリアとかでランプと同じ意味になるので、こうなりました。店内にも置いてありますよ。

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− たしかに古着の街でこの並びは明るいというか、クリーンな気がします。どういった経緯でこのお店を始められたんですか?

10年前にオープンしたんですけど、実は最初はセレクトショップじゃなくて古着屋だったんです。最初の3,4年ぐらいは古着屋で、そこからセレクトに移行してきました。ヴィンテージとかではなくてどこか面白みのあるものが好きですね。でも古着って買い付けに行っても、向こうに物がなかったりするじゃないですか。こういう並びにしたいと思っても出てこなかったり。満足いく商品構成を考えたら新品になっていきました。

− いきなりセレクトショップは大変ではなかったですか?

独立する前は量販店で働いていたり、並行輸入の店で働いていたので、むしろ新品の方が得意でしたね。そういうこともあったので新品を混ぜながらセレクトショップになりました。

− 高円寺って聞くと古着の街ってイメージなんですけど、高円寺の中で新品セレクトをやる難しさってありましたか?

当初はなかったです。かっこいいものを求めてみんな高円寺にきたんで、それが新品だろうが古着だろうが関係ないんですよね。格好よければオッケーで。たまたま今日は古着見に来たけど、新品でかっこいいのがあったら買うみたいな感じでした。

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遠山さんが提案する"かっこいい"の定義。洋服って楽しい。


− そんな方達が常連さんになっていったんですね。お客さんのスタンスがかっこいい(笑)どういったかっこよさを見せていこうと考えていますか?

基本的にショップを運営されてる皆さんはそうだと思うんですけど、自分が体験したもの、その中のかっこいいものを表現していこうと思ってます。僕は90年代のファッションとニューヨーク、東京の雰囲気が好きで、それをやってるみたいな感じですね。

− 若輩もので恐縮なんですが、90年代のファッションてどんな感じだったんですか?

僕が思う90年代って、ちょっと都会っぽくてカジュアル、ドレスダウンじゃないけど着方はストリートっぽい、そこまで気取ってないスタイリングだと思ってます。あとタフな感じ。都会はタフじゃなきゃ生きていけねぇよって思ってます(笑)。言葉で表現するのはすごく難しいんですけど、一番言葉で表現するならアメカジですね。ショットのライダースとかブーツを履いてゴリゴリな感じもありつつ、僕はその時ヒップホップに傾倒してたので、ヒップホップライクな着こなししてました。

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− やっぱり当時からファッションしてる人って、音楽とかカルチャーと服の結びつきが強いですよね。店内にレコードのジャケットがいっぱいありますし。ヒップホップって聞くとB-BOYみたいなイメージを持ってしまうんですけど、具体的にはどんな着こなしだったんですか?

着こなしはヒップホップって言っても、ラルフローレンを着てました。ラルフローレンとかダナキャラン、カルバンクラインを大きく着る。サイズダウンすれば普通の格好といえば普通の格好なんだけど、着方次第だと思うんですよね。

それって今でも同じことが言えて、still by handも着方次第で見せ方は変えられるんですよ。そこが洋服の面白さだと思うんですよね。ストリートだからってストリートのブランドを着るのはちょっと違うなって思うんですよ。それってヤングで入り口の子達がやることで。でも僕の着方って見え方によってはストリートに見えるじゃないですか。それでも実は、いかにもストリートなブランドは入っていないと。それが洋服の面白さだと思います。

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「粋」が「洒落」。カルチャーとファッションとトレンド、流れを見てきたから言えること、表現できること。


 − 音楽もファッションも、ご自身がかっこいいと思ったものを表現しきっている姿にただただ感服します(笑)

個人的な意見なんですけど、偏ってるのは面白くないと思っていて。音楽はめちゃくちゃ聞いてて詳しいのに服はダサいとか、逆に服はダサいのに音楽は変なのばっかり聞いてるとか。ライフスタイル全般と言うか、洋服と音楽って常にリンクしてる感じなんで。あの当時ってバイクカルチャーとかパンクの人たちのファッションがあって、カルチャーをひっくるめたファッションだったんですよ。

今はただ大きめを着てればいいとか、何もバックグラウンドがないじゃないですか。それが浅いとは言わないけど、でもそれがトレンドの移り変わりが早い原因になってるなと。上っ面でパッと行って、大きめ、ワイド、はい終わりー、次は細めー、みたいな。じゃあ細めってなんなんだってところに行かないですよね。だから少しでも音楽の匂いとか混ぜられたらいいなって思います。難しいんですけどね。

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 − ではブランドの並びも最初から今みたいな形を検討されてたんですか?

いや、それが全然違くて(笑)みんな全体像があって、オープンに合わせてこのブランドとこのブランドを入れて、みたいな感じだけど、僕は1個ずつ足してった感じですね。全体像が見えてるんじゃなくて、いいのがあったら入れるみたいな。自分の考えに当てはまるものなら別に制限はないというか。まだ50パーセントですけど。

 − 10年で50%…(笑)では今後お取り扱い予定のブランドもあるということですか?

無理ない程度に、お客さんに提案できるスピードで増やそうとは思ってます。いくつか春から新しいのは入れるんですけど、あまりこういうstil by handとかやるお店では取り扱わないようなブランドをやります。大雑把な括りでいくとストリートブランドです。でもスウェットとかもあるし、シャツやジャケット、テーラードっぽいものもあるっていう。

 − まさにstill by handのような見せ方で変わるブランドさんですね。洋服において、こういうのがあるとグッとくるポイントはありますか?

やっぱり基本はアメリカ製が好きですよ。ニューヨークに対しての憧れが半端ないんで、ニューヨークっていうだけでかなり点数高くなるみたいな。やっぱりヒップホップがあるのでニューヨークに行ったりもしますしね。都会っぽいものが好きかな。さっき言ったように都会っぽくてタフなイメージがあって。ヤワなものは着ないですね(笑)

 −それでいくとホワイトラインやミーンズワイルもかなり当てはまりますよね。

そうです。ハードな面も知ってて、あえて今っぽく洗練させてる。でも柔らかすぎはしないと思うんですよね。それが好きなのかもしれないです。

だからこの言葉がキーワードとしてあってるのか知らないですけど、ラフで粋なものが好きなんです。スタイリッシュなんだけどラフ、ちょっとドレスダウンした雰囲気、気張ってない、それがだと思うんですよ。誰もがあいつカッコつけてるなっていうんじゃなくて、なんかあの人かっこいいよねっていう。自然体だけどかっこいい、っていう雰囲気がかっこいいと思う。洒落るってそういうことだと思うんです。普通にやってたら洒落でもなんでもない、やりすぎたら駄洒落になっちゃうし。そのバランスですよね。

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主張しすぎていないブランドロゴのものを多く扱っているのもそれとつながっていますか?

そうですね。もちろんシュプリームとかステューシーも好きでかっこいいと思いますけどね。コーディネートのスパイスとしてベルトとかキャップとかだったら丁度いいんだと思います。でもそれについて言いすぎるとなんかつまんなくなっちゃうんであまり言わないようにはしてます。ガチガチに“服とは”みたいになっちゃうとね…。

そのスタンスもまさに洒落なんだと思います。

よく言葉でバランスとか塩梅とか言うんですけど、どっちかに振り切るとつまらなくなると言うか。そういうのは分かりやすいし誰でもできると思うんですよ。ぶっ飛んだ服装ならどこまでもぶっ飛べるし、それは真似すればいいし。逆にビシッと着るのも今ならネットでいくらでも情報があるので、教科書通りにやればそっちにも振れる。これもまたバランスの問題ですよね。

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セレクトショップは料理屋。


セレクトショップの味付けもそうですよ。どこにバランスを置くかっていうのが、オーナーのスタイリングとか腕の見せ所です。うちはあえて言えば和風創作料理屋かな。味付けは和風というか薄味なんだけど、ちゃんとダシも効いてるものを扱う。基本的に素材の良さを引き出すようにしてます。

だから過剰なロゴとかキャッチーなデザインはキツいスパイシーなソースなんです。ソースをぶっかけて食ってるから元の味がわからなくなる、何だってソースの味になってしまうのはうちは違うなと。だったらダシが効いてるstill by handとかをうまく組み合わせて素材を殺さないようなスタイリングをしたいですね。

− 料理ですか。例えが面白いですね。遠山さんご自身のスタイリング、お客さんへの提案として意識されてることはありますか?

提案するスタイリングはマイナス1ぐらいにしてます。もう1個はお客さんが考えてくれればいいなって。例えば今日の服装で言えばこれなんですよ。このベルトがあるかないかで違ってて、この差し色の赤とか、こういうのを無しにした状態で見せてます。考える余地というか、ちょっと余白があればいいかなって今のうちは思ってますね。あんまり詰め込まない方がいいかなと。野暮ったくなるんで。

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− ベルトとベストの色を合わせたスタイリングもなんですけど、本当にかっこいいですね。Lapmaさんを客観的に見て、うちに来るとこんな風ににかっこよくなれるよってのはありますか?

素が出やすいスタイリングだと思います。ロゴのパワーで見せるスタイリングじゃないし。本人のパーソナルなところが出ると思うので、内面を磨いてくれればいいかなと。

ブランドネームで売ってる、ってことではないと。

そもそもお客さん自体ブランド目当てで買ってる人はほとんどいないんじゃないかな。スティルとか人気があるブランドは目がけて来る人もいるけど、常連の方ほどそういうのを気にしない。「気づいたらいつもこのタグの服買ってるな」、ぐらいのノリの方が多いかな。ここだったら何を買っても問題ないと思ってもらえてるんだと思います。

お店として信頼されてるってことですよね。理想な気がします。

実店舗でもECでも、接客することに違いはない。


− 実際に接客される際、気に掛けてることは何ですか?

もうこのままです。自然体で。失礼にならない程度に普通にしてます(笑)。でも胡散臭い人と思われてるかもしれません。前歯がなくて…(笑)。

自然体が粋で洒落てるってことですもんね。でも確かに歯が…。どうしてまた前歯が…?


アサリ食べてたら仮止めしてたのが欠けました(笑)殴られたとか事件性はないです(笑)。

ちょっと聞くの怖かったんで、事件性がないなら何よりです(笑)ECと実店舗の兼ね合いで意識されてることは何ですか?

結局ECにあげたものを見て買いに来る方が圧倒的に多くて。入り口としてのWEBかな。だから写真が命です。写真の撮り方一つでも違うと思うんですよね。店の個性が出るっていうか、それもセンスの見せ所で。忙しいから雑なレベルの写真しか撮れないっていうのは、商品を見てくれてるお客さんに失礼じゃないですか。
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“LampaのECに掲載されている写真”


スタイラーのリプライでも写真が本当に際立ってて素敵です。あとECサイトの商品説明もかなり力を入れてますよね。それを入り口で読むと接客も丁寧なんだろうなという期待が持てます。

これは実店舗もECもなんですけど、トルソーの腕を入れないと気が済まないです。ペタってなった二次元な感じが嫌いで。服って着た時の雰囲気が大事なんで、やっぱり腕は入れて見せないとですよ。それもセンスの見せ所だし、接客の一部だと思ってます。

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あんまり今の店ってトルソー置いてないでしょ。物が綺麗に並べられてるだけで。あれが今の洋服屋のスタイルだと思うんですよ。WEBでスタイリングを見せておく。今はインスタとかもあるんで、逆に洋服屋っぽくしたくない人が多いと思うんですよね。その方がかっこいいと。

言ったらうちのお店の雰囲気も90年代ですよね。昔っからあるトルソーのある服屋みたいな。スタイリングの写真も、モデルが着るとパーソナルなイメージがついちゃうじゃないですか。僕が着るとストリートっぽいというか。逆にトルソーの方が色がなくていいんです。うちのウェブの場合はお客さんが自分の顔を当てはめればいいだけにしてます。色が染まってない、洋服が前面に出てる写真を見せてますね。

音楽も服も、表現の一つ。


− ちなみにヒップホップがお好きとおっしゃっていましたが、お店のBGMとしてヒップホップを流すこともあるんですか?

あった。あったんですけど、お客さんに誤解を招くことがわかったんでやめてます(笑)still by handとかを求めてくるお客さんて、ヒップホップじゃない人の方が多いので。ちょっとびっくりするらしいですよ。「この店で合ってたのかな」みたいな(笑)

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でもそこを逆に面白がってもらえるといいんですけどね。なかなかちゃんと伝えきれないところが多いので、できるだけ分かりやすくしようと思ってます。あまり色がつきすぎてる音楽はかけないように、「こういう音楽かけてる店はこうなんだな」だと思われないような。逆にうちの店のパワーがあればそんなの関係ないんですけどね。お店の色が出てればどんな音楽をかけてもOKなので。洋服もそうだと思うんですよね。何を扱っててもあそこだよねって思われるようになりたいな。

− そうなんですね(笑)10年経っても50%の満足度でまだまだこうしていきたいと考えてることに素直に尊敬すると同時に、これからのLapmaさんの10年間がもっと楽しみになりました。本日はお時間をいただきありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。あ、ちなみにレコードジャケットは買ってくれた人に一枚プレゼントしてます(笑)高く売れるのもあると思うんでそれついでにでもお店に立ち寄ってみてください。

Lampa


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90年代の東京、ニューヨークの都会らしさにルーツを持つ遠山さんがオーナーを務めるセレクトショップ。自身が思うかっこよさをセレクトで、言葉で、表現しているからこそ、古着の街にして長年愛され続けている名店。上っ面ではなく「ファッションとカルチャーは紐づいている」と語れるその見識の深さが、提案する服、着こなしの幅にも繋がっている。取り扱いブランドはStill by hand、Ordinary Fits、Stammbaum、Blueoverなど、ラフで粋、本質的なストリートを感じるブランドばかり。本人は50%の完成度と語るも、行けば満足度は100%、極上のショップ体験ができますよ。

東京都杉並区高円寺南4-8-1
TEL:03-3316-4030
OPEN:13:00~19:30


Text.Akira Ono

Text&Edit : ライターA


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